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公益法人の寄附金収入と消費税について

サブタイトル;特定収入以外の収入の利用による消費税の節税対策

質問;当社団法人は、公益社団法人の認定を受けて3回目の決算を迎えようとしています。

 法人税についての心配はしなくてよい状況なのですが、消費税については従来からその負担が重く、対策に苦慮しております。

 当社団法人の収入は、事業収入、官庁からの補助金収入の他、会員からの会費収入や寄附金収入などが主たる財源となっています。

 官庁からの補助金収入は、特定の事業費に充てるためという指定があるほかは、特に使途の細目までは指定されていません。

 また、会費収入は特定の事業の人件費等に充てるための特別会費を含んでいます。

 消費税について、何かよい節税方法がありましたら、御教示ください。

A

1、消費税法上の公益法人等の位置付け

 貴社団法人が該当する公益法人等は、消費税法上は別表第三の法人として取扱われています。

 この別表第三の法人は消費税法60条(国、地方公共団体等に対する特例)の適用を受け、一般的な補助金収入や会費収入等の不課税収入である特定収入について、仕入税額控除の調整計算(仕入税額控除が少なくなる計算)が必要になります。

 この計算過程が複雑なため、税務調査では重点的に調査され、計算ミスを指摘されることが多いのが現状です。

 特定収入を原資に課税仕入が行われた場合には、非課税売上を原資とした課税仕入と同様に、その部分については仕入税額控除を制限し、法人自らを最終消費者として、課税仕入にかかる消費税を負担する仕組みになっています。

 これは、収入には消費税が含まれておらず、支出には消費税が含まれているため、個人の給与所得者と同様に仕入についての消費税等を売上に転嫁することができず、最終消費者、最終負担者の位置付けとなるためです。

 換言すると、このケースでは課税仕入は課税売上と対応せず、特定収入と対応しているために仕入税額控除を行う根拠がなくなるわけです。

 

2、特定収入を特定収入以外の収入にすると節税効果がある

 消費税の節税対策としては、補助金収入等を特定収入から特定収入以外の収入へ変更することが考えられます。

 人件費や支払利息、土地の取得、減価償却費等の不課税・非課税の支出は特定支出と呼ばれており、このような支出に当てるための補助金収入等は特定収入以外の収入として、仕入税額控除の計算上、調整を受けないこととされています(消費税法施行令第75条①)。

 この場合には収入・支出共に消費税とは無関係となり、仕入税額控除とも関係がなくなるためです。

 なお、消費税法施行令第75条第1項では「特定収入以外の収入」の定義が限定列挙されており、課税対象外(不課税)収入のうち特定収入以外の収入を除いたものを「特定収入」としている点に注意が必要です(消費税基本通達16-2-1 なお、特定収入は例示列挙)。

 この定義の仕方から、使途が不特定の課税対象外(不課税)収入は、その言葉とは裏腹に特定収入に分類されてしまい、仕入税額控除の調整計算の対象となってしまう点に留意が必要です。

 したがって特定収入は使途が不特定の場合と、使途が課税仕入に指定されている場合の2通りあることになります。

 逆に特定収入以外の収入は、使途が特定支出に特定されており、使途不特定ということはあり得ません。

 

 3、特定収入以外の収入の利用の仕方

 特定収入についての仕入税額控除の調整計算を回避するには、補助金収入等を人件費等の特定支出に充てるための補助金として紐付きで受け取ることがベストになります(消費税法施行令第75条①六イ、消費税法基本通達16-2-2(一))。

 しかし実務上は補助金を支払う側の予算科目の関係から、人件費等に充てる旨を契約書等に盛り込むことが無理な場合があります。

 その場合には、補助金収入等の使途が決算書上で人件費等に当てられていることが明らかなものや、合理的な方法により計算された金額について、消費税法基本通達16-2-2(国、地方公共団体の特別会計が受け入れる補助金等の使途の特定方法)を準用し、公益法人等が自ら使途を特定することで特定収入以外の収入とすることが可能です(消費税法施行令第75条①六ロ)。

 具体的には、補助金収入等に当期の総支出に占める人件費等の不課税仕入割合を乗じて、その金額を特定収入以外の収入とすることができます(消費税法基本通達16-2-2(二)ニ)。

 この手法を用いると、仕入税額控除の調整計算の対象外となる特定収入以外の収入が生まれるため、大きな節税効果を持ちます。

 なおこの方法は国税庁のホームページに掲載されている「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」により、消費税法別表第三に掲げる法人だけでなく、NPO法人や人格のない社団等まで適用可能となっており、幅広い節税効果を持っています。

 さらにこの「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」は、ほぼ毎年更新され、その都度、節税対象が拡大していますので、年1回程度の閲覧、確認をお勧め致します。

 

 4、平成25年度税制改正による新たな節税方法

 平成25 年度税制改正によって、「公益社団・財団法人が受ける寄附金のうち当該寄附金の募集要綱等(行政庁の確認を受けたものに限る。)においてその全額の使途が課税仕入等以外に限定されているものについては、消費税の特定収入から除外する。」とされました。

 これについて平成25 年5月31 日に消費税法施行令の一部を改正する政令(平成25 年政令第167号)が公布され、当該措置に必要な法令の規定が整備されました(消費税法施行令第75条①六ハ)。

 この政令の施行日は平成26年1月1日で、平成264月1日以後に募集が開始される寄附金収入は、一定の要件を満たせば特定収入以外の収入になります。

 

5、具体的方法

 具体的には公益社団法人又は公益財団法人が作成した寄附金の募集に係る文書において、特定支出のためにのみ使用することとされている当該寄附金の収入(当該寄附金が次に掲げる要件の全てを満たすことについて当該寄附金の募集に係る文書において明らかにされていることにつき、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第三条(行政庁)に規定する行政庁の確認を受けているものに限る。)は特定収入以外の収入にすることができます(消費税法施行令第75条①六ハ)。

(1)特定の活動に係る特定支出のためにのみ使用されること。

(2)期間を限定して募集されること。

(3)他の資金と明確に区分して管理されること。

 

 これにより補助金収入等以外に寄附金収入についても、特定収入以外の収入として取扱うことが可能になっています。

 この制度の利用の仕方としては、寄附金収入を上記の要件を満たすように募集する方法以外にも、例えば特定の事業を行う際の人件費等に充てるための特別会費について、これを会費ではなく寄附金収入として募集することで、上記の特典を受けることができますので、収入の受入方法を工夫することが考えられます。

 

コメント;

 公益法人等はその最終消費者的な性格から、消費税の負担が通常の事業法人よりも重くなっています。

 これについては国税当局が認めている「特定収入以外の収入」の活用によって、大幅な節税が可能であるため、これをお勧めしたいと思います。

 

参考:

消費税法60

消費税法施行令第75条①

消費税法基本通達16-2-1

消費税法基本通達16-2-2

国税庁のホームページ掲載「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」

悩みが解決しました

タイトル;法人形態の選択について

サブタイトル;合同会社と一般社団法人

質問;法人を設立するにあたって、親族のみでこじんまりと行いたいと思い、株式会社の設立を司法書士に相談したのですが、それであれば株式会社よりも合同会社のほうが適しているのではないか、さらには一般社団法人でもよいのではないかと勧められました。

 それぞれの法人形態の特徴と税制面が気になります。

 利用の際のメリット・デメリットや税制面でのメリット・デメリットを御教示ください。

A

1、合同会社

①その特徴

 合同会社は株式会社と同じく営利を目的とする社団法人(人の集まり)であり、すべての社員は間接有限責任となっています(会社法576条④)。合同会社は持分会社の一つで、所有(社員)と経営(業務執行者)が原則として一致しています(会社法575条①)。

 また、社員は原則として業務執行社員かつ代表社員になるため(会社法590条①、599条①)、社員は必要ですが社員総会は任意で、取締役(会)は不要です。

 なお社員が複数名の場合には定款で業務執行社員を定めることが可能です(会社法591条①)。この場合にも業務執行社員は代表社員となりますが(会社法599条②)、業務執行社員が複数名の場合には定款、又は定款の定めに基づく業務執行社員の互選により代表社員を定めることができます(会社法599条③)。

 なお合同会社は、会社法により廃止された有限会社の代わりとして生まれたもので、貴社のような小規模会社に適した制度となっています。

 

 ②利用の際のメリット・デメリット

 利用の際のメリットとしてはまず、設立コストが安いことが挙げられます。合同会社の設立登記の登録免許税は最低6万円ですが、公証人による定款の認証は不要で、定款を電子定款にすれば4万円の印紙税も不要ですので、設立の際に要する費用は、様々な法人形態の中でも最も低廉です。

 定款認証手続が不要であり形式要件を満たせばすぐに設立できる分(準則主義、会社法579条)、設立がスピーディーで簡単です。

 また一人で設立でき、一人の場合にはその社員が業務執行社員及び代表社員となるため、ほとんど個人事業と同じ感覚で、かつ法人名義で業務を行うことができます。

 さらに業務執行社員及び代表社員には法律上の任期の定めがないので、株式会社のように改選の度に変更登記する必要もありません。

 それに加えて、株式会社のような計算書類の公告義務はありません。

 出資の払込みは銀行等にする必要はなく、社員が代表社員の口座に払い込むことも可能です。

 これ以外にも出資金額に関係なく社員ごとに利益の配当等について定款に定めることが可能であり(会社法622条②)、出資金額に関係なく社員を平等に取扱うことも可能です。

 また、将来的に株式会社へ組織変更することもできます。

 利用の際のデメリットとしては、社員が複数名の場合、定款変更などの重要事項の決定には社員全員の一致が原則な点がありますが(会社法637条)、定款で異なる定めを置くこともできますのでそれほど問題にはなりません。 

 しいて言えば、社員の死亡又は合併による消滅の場合、定款に定めがなければ持分の承継ができない点や持分の譲渡は原則として他の社員全員の承諾が必要であるため、閉鎖性が強いのがデメリットといえるでしょう(会社法585条)。

 また自己持分の取得は禁止されているため、金庫株的な利用はできないデメリットもあります。

 

 ③税制上のメリット・デメリット

 法人税法上の分類は普通法人に属し、株式会社と同様に法人税について全所得課税となることから赤字事業と黒字事業の所得が自動的に通算されるメリットがあります。

 さらに税務ソフト・会計ソフトが低価で充実している点や、株式会社と同じ税制となることから、一般社団法人等の他の法人形態に比べて、税務・会計面での不確定・不安定な要素が少ない点もメリットです。

 一方デメリットとしては、その閉鎖性から同族会社に該当しやすく、行為計算の否認を受ける可能性が有る点や(法人税法132条)、特定同族会社に該当すると留保金課税の適用がある点など(法人税法67条)のデメリットがあります。

 

 2、一般社団法人

 ①その特徴

 一般社団法人は営利を目的としない社団法人(人の集まり)で、株式会社や合同会社との最大の相違は、この非営利性にあります(一般法11条②)。

 ただし非営利性を徹底させる必要はなく、かつ公益性も必要とされていないため、株式会社や合同会社と同じように活動することもできます。

 なお、すべての社員は間接有限責任である点も合同会社と同じです。

 社員、社員総会及び理事は必須となっていますが、取締役会に相当する理事会、監査役に相当する監事は任意となっています。

 

 ②利用の際のメリット・デメリット

 メリットとしては社員二名で設立可能であり、かつ準則主義による設立であるため設立がスピーディーで簡単です。

 また、旧民法の制度と異なり主務官庁制はなく、NPO法人のような認証手続も不要です。

 さらに共益型法人の場合は、収益事業をメインの事業にはできない制約はありますが、持株会を廃止する場合の受け皿になり、相続対策にも利用できます。

 デメリットとしては、設立時の定款には公証人の認証手数料(52千円程度)、登記申請時の登録免許税(6万円)が必要となる点があります。

 これ以外にも社員又は設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは無効である点や(一般法11条②)、役員の任期の伸長規定がないため2年ごとに役員に関する登記が必要である点もデメリットです。

 

 ③税制上のメリット・デメリット

 法人税法上の分類は、定款の内容その他により次の二つに分類されます。

 一つ目は公益法人等(法人税別表第二の法人)に属する非営利型法人であり、これには「非営利性が徹底された法人」と「共益型法人」があります(法人税法2条六、九の二、別表第二、法人税法施行令3条)。

 一方、非営利型法人以外は、株式会社や合同会社と同じく普通法人として取扱われます(法人税法2条九)。

 普通法人の場合は会社と同じく全所得課税ですが、非営利型法人では法人税について、法人税法上の収益事業についてのみの課税となります(法人税法2条十三、4条①、7条、法人税法施行令5条)。

 法人税法上の収益事業となる請負業は民法よりも範囲が広いのですが、所轄税務署長から実費弁償による受託業務の確認を受けることができれば、収益事業から外すことができる(法基通15-1-28)ため、これによる節税が可能です。

 さらに行政庁による公益認定を受けることで、法人税と利子等の源泉所得税を非課税にすることができる道も開けています。

 なお会計は原則として公益法人会計基準によるため企業会計に近く、専用のソフトを利用する以外にも、設定を変えるだけで「弥生会計」や「らくちん法人税等」で代用できます。

 一方デメリットとしては、法人税について、非営利型法人では収益事業と収益事業以外の事業との区分が必要となることで手間がかかる点があります(法人税法施行令6、法人税基本通達15-2-1)。

 なお、財務会計とは切り離して収益事業と非収益事業を分けた区分経理表を作成して納税申告することもできます。

 また、公益認定を受けると法人税が非課税となる反面、所轄庁の監督が厳しくなります。

 消費税については別表第三の法人となるため計算が複雑になり、課税対象外の不課税収入である特定収入を原資に課税仕入を行った部分について仕入税額控除ができなくなるため、会社形態と比較して納税額が増えます(消費税法60④、別表第三、消費税法基本通達16-2-1)

 ただし、一般的な会社と同様の活動をする場合には、特定収入は発生しないのが普通ですので、あまり心配はいりません。

 この他には、専用の会計ソフト・税務ソフトは高額であり、使い勝手もあまりよくなのですが、既述のように通常のソフトで代用可能ですので、これも心配は不要です。

 

コメント;

 家族のみでこじんまりと事業を行う場合は、定款自治が徹底している合同会社、又は設立が容易な一般社団法人として行う方法があります。

 

参考;

会社法575条①、576条④、579条、585条、590条①、591条①、599条、622条②、637

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法)11条②

法人税法 2条六、九、九の二、十三、4条、7条、67条、132条、別表第二

法人税法施行令 3条、5条、6

法人税基本通達 15-1-28、15-2-1

消費税法 60条④、別表第三、

消費税法基本通達16-2-1

問題が解決できました

公益法人の法人税における請負業

サブタイトル;法人税法上の請負業に該当しないための対策

質問;当法人は一般財団法人で、市が当法人の基本財産の全額を出しています。

 また市から指定管理者に指定されており、市から委託された諸施設の管理運営を行っています。

 この当法人の事業が法人税法上の請負業に該当し、法人税の納税義務があるのではないかと内部で議論がありました。

 市からは実費相当の委託料しか受け取っていないため、仮に申告しても課税所得は限りなくゼロに近くなりそうなのですが、やはり申告・納税は必要となるのでしょうか。

 

回答;

1、民法上の収益事業と税法上の収益事業の違い

 一般法人は定款に定められた目的事業を実施するため設立されたものです。

 一方で法人税法上は課税の公平の観点から、営利法人が同様の活動を行った場合に課税しているのであれば、一般法人にも法人税を課税する考え方を採っています。

 これにより法人税法独自での収益事業を規定しており、法人税法施行令5条第1項において34業種の特掲事業を掲げています。

 この法人税法上の収益事業には、貴法人のような市からの受託事業が含まれ、法人税法上は請負業に該当し、申告・納税義務が発生します。

 ここでの法人税法上の請負の概念は、民法上の請負(民法632)よりもその範囲が広く、委任(民法643)や準委任(民法656)を含みます。具体的には他の団体等から依頼されて仕事を行えば、原則として全てこの請負に該当します。

  

2、実費弁償の受託業務の制度

 御質問のケースについて、指定管理者等の行政庁からの請負はほとんどの場合実費弁償的に行われ、剰余金が生じない仕組みになっているケースが多いのが実情です。

 このため一定の要件を満たす場合には、所轄税務署長の事前の確認を受けることを条件に、その事業は法人税法上の収益事業とは取り扱わなくてよいという制度があります(法人税基本通達15-1-28)。

 これは実費弁償の受託業務と呼ばれている制度ですが、仮に収益事業に該当する場合には、たとえ申告所得がゼロであっても法人税の申告義務があるのに対して、収益事業に該当しない場合には法人税の申告義務そのものがなく、非常に有利な方法といえます。

 この制度の利用により、今から所轄税務署長に確認を依頼する作業に入れば、今年度分は無理であっても来年度以降は法人税の申告・納税義務が免除されることが期待できます。

 

コメント;

 本事例のように法人税法上の収益事業となるケースについては、法人税基本通達15-1-1において「公益法人等が法人税法施行令第5条第1項各号(収益事業の範囲)に掲げる事業のいずれかに該当する事業を営む場合には、たとえその営む事業が当該公益法人等の本来の目的事業であるときであっても、当該事業から生じる所得については法人税が課せられることに留意する」とされています。

 これを回避するための実費弁償の受託業務の確認を受けることが望まれますが、その要件は以下の2点です(法人税基本通達15-1-28)。

(1)当該業務が法令の規定、行政官庁の指導または当該業務に関する規則、規約または契約に基づき実費弁償により行われること。

 ここにいう実費弁償とは、その委託により委託者から受ける金額がその業務のために必要な費用の額を超えないということで、具体的には次のいずれかに該当する場合です。

イ 個々の契約ごとにそのつど実費精算が行われる。

ロ 翌年度中(やむをえない場合事情がある場合には翌翌年度中)には実費精算が行われる。

ハ 手数料等の額が法令により実費弁償の範囲内で定められていて、剰余金が生じた場合には手数料等の改定に際して適正な是正措置を講ずることになっていることを主務官庁が証明する。

 実務上は規則、規約といったものはなく、契約により実費弁償となっているケースがほとんどです。

 また、実費弁償とはイからハまでのいずれかに該当する場合ですが、これも実務上は「ロ 翌年度中(やむをえない場合事情がある場合には翌翌年度中)には実費精算が行われる」のケースが最も一般的です。

 このことから相手方との契約書に、「実費」あるいは「剰余金が生じた場合には返還する」等の文言があることが税務上の確認の際のポイントとなります。

(2)  上記の事項につき、あらかじめ一定の期間(おおむね5年以内の期間)を限って税務署長または国税局長の確認を受ける。

 ただし、実費弁償といっても通常生じると認められる少額の剰余金についてまでは、厳格な取り扱いはしていません。そして、この少額の剰余金とは、収益事業に係る総経費の1ヶ月分相当額をめどに、5年間にわたり、この範囲の剰余金であれば、実費弁償の枠内として実務上認められる取り扱いとなっています(日本公認会計士協会 東京会 公益法人会計のQA 平成44月)。

 この1ヶ月基準に基づいて、各国税局では「公益法人等の実費弁償方式による事務処理の受託等の判定表」を用意しており、この中の「実費弁償方式の内容の判定表」では、「余剰金の額は、その業務の遂行上必要と認められる経費(税務計算上の金額)の概ね1ヶ月程度相当額以下か。」によって判定するようになっていますので、あらかじめ法人で事前にチェックされるとよいでしょう。

 実務上の手続きとしては、「確認申請書」を所轄税務署長宛に提出し、「確認通知書」を待つことになります。

 なお、法人の一部の事業についてのみ確認を得ることも可能ですし、物品販売業や物品貸付業、興行業など請負業以外にも本基本通達の対象となっており、幅広い適用が可能です。

 さらに、法人税法上は実費の範囲について、いわゆる間接費の配賦額(例えば管理部門の人件費や事務所建物の減価償却費の配賦額等)について、一定の基準により配賦した額も実費の範囲に含めることを容認している点も留意点として挙げられます(法人税基本通達12-2-5)。

 この間接費の配賦を利用することにより、計算上の剰余金が少額となるため、これも納税者にとって大きなメリットといえます。

 ただし法人税法上の実費とは「損金」概念であり、例えば固定資産を購入しただけでは実費には該当せず、減価償却費として損金算入された部分だけが実費として認められる点にも留意が必要です。

 

参考;法人税法第2条、法人税法施行令第5条第1項第10号、法人税基本通達15-1-1、15-1-28、12-2-5

 

事例のポイント

 法人税は一般法人であっても、収益事業を行う場合には課税されますが、実費弁償の受託業務の制度を利用することで、収益事業から外れることが可能です。  

 また、一定の書式が公表されているため、これを利用すると便利です。

 

課題が明確になりました

人格なき社団の課税関係

サブタイトル;人格なき社団の税法上の位置付けと課税上の留意点

 

質問;私は高校PTAの県連合会の事務局を任されている者ですが、最近になって税務署から連絡があり、税務調査が入る旨の通知を受けました。

 そもそもPTA県連合会は税法ではどのような存在として位置付けられているのでしょうか、またPTA県連合会でも納税の義務があるのでしょうか。あるとした場合にはどのような点に留意するべきかについて御教示下さい。

 

回答;

 法人税法をはじめ、税法には人格なき社団と呼ばれる団体があり、PTA県連合会はその中の一つです。

 人格なき社団について従来は税務調査を受ける事例はほとんどなかったのですが、税法上は法人とみなされるため、収益事業を行っている場合の法人税課税や、課税売上が多額にある場合の消費税等の課税があります。また、非営利法人全体が重点調査業種に指定されていることもあり、従来と比較して近年とみに税務調査の対象となっています。

 

(1)税法上の取り扱い

 法人税法では、法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを「人格のない社団等」とし(法人税法2条八)、人格のない社団等は法人とみなして法人税法を適用するとしています(法人税法3条)。

 この法人でない社団は法人税基本通達1-1-1で定義されており、「法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意志の下にその構成員の個性を超越して活動をおこなうものをいい、次に掲げるようなものはこれに含まれない。

(一)民法第667条(組合契約)の規定による組合(二) 商法第535条(匿名組合契約)の規定による組合」

としており、民法上の組合や商法上の匿名組合を除く規定を置いています。

 さらに法人税基本通達1-1-3では代表者又は管理人の定めについて、「法人でない社団又は財団について代表者又は管理人の定めがあるとは、当該社団または財団の定款、寄附行為、規約等によって代表者又は管理人が定められている場合のほか、当該社団又は財団の業務に係る契約を締結し、その金銭、物品等を管理する等の業務を主宰する者が事実上あることをいうものとする。したがって、法人でない社団又は財団で収益事業を行うものには、代表者又は管理人の定めのないものは通常あり得ないことに留意する。」としており、代表者又は管理人について形式ではなく実質で判断することを求めています。

 

 法人税法では当初、形式的に法人格が付与された場合には法人税の課税を行い、自然人には所得税の課税を行うこととしていたため、そのどちらでもない人格なき社団等は課税されない結果となっていました。

 そこで昭和32の税制改正によって、法人税法では人格のない社団等は法人とみなして、収益事業に対してだけ課税を行うことにしました(法人税法2条八、4条①②、7条、10条)。

 なお、人格なき社団等は各事業年度の所得のうち収益事業以外の事業から生じた所得について課税されないだけでなく、清算所得についても法人税を課さないこととされています(法人税法7条)。

 所得税法においても法人税法と同様に人格のない社団等の定義がおかれ、人格のない社団等は法人とみなして所得税の規定を適用するとしています(所得税法2条①八、4条)。

 相続税法においては昭和25年の改正以来、人格のない社団等は納税義務者として規定されており、代表者又は管理人の定めのある人格のない社団等に対し財産の贈与又は遺贈があった場合には、法人税の課税の対象となるものを除いて、人格のない社団等を個人とみなして贈与税及び相続税を課するとしています(相続税法66条①②)。

 消費税法でも人格のない社団等は、法人とみなして、消費税の規定を適用するとしています(消費税法3条)。

 

(2)法人税課税の要点

 それでは、法人税課税に的を絞ってその要点を見ていきましょう。

 人格なき社団の法人税の税率は年間所得金額800万円以下のものについては15%、これを超えるものについては23.9%の税率となっています(平成28年度税制改正前)。

 まず法人税の課税対象は法人税法上の収益事業による所得ですが、ここでの収益事業は法人税法独自の概念である点に留意が必要です。

 法人税法では第2条(定義)の十三号において「収益事業とは販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう。」としており、具体的には特掲事業と呼ばれる法人税法施行令5条に規定された34業種であり、図表の事業がこれに当たります。

 なお人格なき社団が「継続して事業場を設けて営まれるもの」に該当するか否かの解釈については法人税基本通達15-1-4において、「『事業場を設けて営まれるもの』には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を営むもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても『事業場を設けて営まれるもの』に該当する」としており、その範囲を広範囲に解しています。

 34業種のうちその範囲が最も広いのは請負業です。

 この法人税法上の請負の概念は、民法上の請負(民法632条)のよりもその範囲が広く、委任(民法643条)や準委任(民法656条)を含み、具体的には他者から依頼されて仕事を行えば、原則としてすべてこの請負に該当します。

 なおこの請負業について実費相当の収益しか予定されない場合には、所轄税務署長に対して「実費弁償受託業務による事務処理の委託等」の確認を得ることで、これを収益事業には該当しないものとして取り扱うという特例が設けられています(法基通15-1-28)。

 請負業に該当すると、仮に納税額がゼロであっても納税申告書の提出義務があるのに対して、請負業に該当しないこの方法ではそもそも納税申告書の提出が不要です。したがって、この方法は受託事業を行っている場合には便宜上優れた方法です。

 なお、この収益事業の34業種の規定が整理されたのが主に昭和30年代であるため、たとえば技芸教授業の中には音楽教室、絵画教室、書道教室等が含まれますが、パソコン教室や英会話教室等は含まれていません。

 したがって人格なき社団が法人税法上の収益事業を行っているかどうかの判定は、11つ政令や通達と照らし合わせながら確認する必要があります。

 

コメント;

 人格なき社団の、その他の税についても見ておきましょう。

 人格なき社団の住民税も法人税割と均等割に分かれますが、法人税割は法人税法上の収益事業の所得に課税された法人税額が課税対象となります。

 また均等割については、多くの自治体において税法上の収益事業を行わない場合には、これを減免する条例を設けています。

 消費税に関しては原則として普通法人と同様ですが、公益法人やNPO法人と同様に特定収入に関しては仕入税額控除が制限される特例があるため、その計算は普通法人に比べて複雑なものになっています(消費税法3条、60条④)。

 人格なき社団の消費税に関しては、収入に占める特定収入の割合が大きく、これにより消費者としての立場に立つことが多いため、消費税を自ら負担する部分が発生します。

 会費収入に代表される特定収入は不課税(課税対象外)となりますが、仕入に関して課税仕入を行えば、当然ながら消費税が付随してきます。

 たとえば事務所の家賃を支払えば、消費税も支払うことになります。

 この場合、主な収入には消費税が課税されない一方で、支出には消費税が課税されていますが、この状態は個人の消費者が給料収入には消費税が課税されない(給与所得者は事業者に該当しないため、給料は不課税となる)にもかかわらず、支出する際には消費税も合わせて支出している状態と同じです。

 したがって人格なき社団も、消費者の立場に立つことがある以上、消費税を自ら負担する部分が発生します。

 

 

参考;

法人税法2条八、十三3条、4条①②、7条、10

 法人税法施行令5

法人税基本通達1-1-1

 法人税基本通達1-1-3

 法人税基本通達15-1-4

法基通15-1-28

所得税法2条①八、4

 相続税法66条①②

 消費税法3条、60条④

 

充分な準備ができました

非営利型法人の税務調査対策

サブタイトル;非営利型法人に特有の税務調査への対策

質問;当法人は一般社団法人ですが、収益事業を行っているため顧問税理士を置いています。

 その顧問税理士から、非営利型法人であっても国税当局による税務調査がありえること、またその調査の観点は通常の会社に対する税務調査とは異なると聞きました。

 税務調査を受ける際には、どのような観点から調査が行われるのか、予め知っておきたいと思いますので、調査項目とそれへ対策について御教示下さい。

 

A;

 非営利型法人等の税務調査に関して、現在のところ国税当局により重点調査業種に指定されており、集中的な調査が行われています。

 つまり税務署の担当官は、より上位の組織から、公益法人等の規模の大小に関係なく調査に行くよう指示されているわけです。

 特に規模が小さいため、これまでは調査の対象となっていなかった法人等に対する税務調査が行われている点が特徴となっています。

 また税務調査の対象は、非営利型やNPO法人に限らず、社会福祉法人・学校法人等の非営利法人すべて、またそれにとどまらずいわゆる任意団体である人格なき社団(PTAなど)まで税務調査が行われています。

 

2、源泉所得税の調査

 非営利型法人等の税務調査は法人税、源泉所得税、消費税が同時に調査される(法・源・消同時調査といいます)点は営利法人と同じですが、調査の順序や力点が異なり、まずは源泉所得税の調査から入るのが普通です。

 源泉所得税については、常勤の役職員に関してはほとんど問題が起こりませんが、非常勤役員への給与に注意しなければなりません。

 多くの法人等では、定款等の上では非常勤役員に対する報酬を無給としています。

 しかし現実には多少の支払いを「お車代」等の名目で支払っているのが実情です。

 この「お車代」等について、出勤のために直接必要であると認められる額ではなく、法人の規程により一定額を支払っているケースでは、その金額の多寡にかかわらず所得税法上は給与に入ると考えられ、支払時には法人側に源泉所得税の徴収義務が発生します(所得税基本通達9-5)。

 この問題を避けるためには交通費を文字どおりの実費で支払うか、規程に基づいて、例えばお車代等で3,000円の支払いを行う場合、3,333円と経理しておき、333円を源泉徴収することが考えられます。

 また、年末年始の贈答においてデパートの商品券等の金券等を贈った場合も、同様に給与とみなされて源泉徴収の義務が発生します。

 年末年始の贈答時には、金券等の贈答は避けるとともに、その額が多額にならないよう注意することが必要といえます。

 

3、法人税の税務調査

 非営利型法人等は法人税法別表第二の法人に属し、その法人税は、法人税法上の収益事業を営んでいる場合に課税されます。

 これは昭和24年のシャウプ勧告により、昭和25年から始まった制度です。

 これにより非営利型法人等は法人税に関して原則として非課税ですが、例外的に34の業種(特掲事業と言います。)に該当すると課税されることとなります(法人税法施行令5条①)。

 ここでの税務調査の主眼点は、非営利型法人等が法人税法上の収益事業を行っているにもかかわらず、税務申告をしていないのではないか、または法人税法上の収益事業ではない事業の赤字が収益事業の所得の計算に算入されており、課税所得が過小計上されていないかという観点から行われます。

 つまり、個々の勘定科目の損金算入・不算入よりも、より大きな構造的枠組みに対して、それが正しいかどうかが調査されます。

 34業種のうちその範囲が最も広いのは請負業であり、この法人税法上の請負の概念は、民法上の請負(民法632条)のよりもその範囲が広く、委任(民法643条)や準委任(民法656条)を含みます。具体的には、他の法人等から依頼されて仕事を行えば、原則としてすべてこの請負に該当します。

 税務調査時には、この請負業に該当する事業を行っていないかについて、雑収入や補助金収入等の科目が重点的に調査されます。

 請負業については、公益法人が行う事業としては最もその数が多いのですが、「実費弁償受託業務による事務処理の委託等」に該当する場合には、これを収益事業には該当しないものとして取り扱うという特例を設けています(法人税基本通達15-1-28)。

 例えば市や県などの行政庁からの受託事業や他の法人からの受託業務等は、法人税法上は請負業に該当しますが、これらの請負は多くの場合実費弁償的に、その事業の経費をまかなう程度の対価で行われ、剰余金が生じない仕組みになっているケースが多いと思われます。

 そこで一定の要件を満たす場合にはあらかじめ所轄税務署長の確認を受けることを条件に、その事業は法人税法上の収益事業とは取り扱わないこととなっています。

 なお、一部の事業についてのみ確認を得ることも可能(むしろこちらが原則)ですし、物品販売業や物品貸付業、興行業など請負業以外にも本基本通達の対象となっており、幅広い適用が可能です。

 法人税法上の収益事業を実費で行っている場合には、この通達の適用を受けられる可能性が高いため、所轄税務署の窓口で御相談されてはいかがでしょうか。

 

4、消費税の税務調査

(1)非営利型法人等の消費税の特徴

 非営利型法人等は、消費税法上は別表第三の法人として取扱われています。

 法人税では、仮に法人税法上の収益事業に該当したとしても、課税所得がなければ結果的に課税は行われませんが、消費税等は課税所得の有無とは無関係に課税されるものであり、その金額も決して少なくないのが普通です。

 株式会社等の営利法人の場合には、基本的には売上に伴う仮受消費税等から仕入に伴う仮払消費税等を差し引いた額を納税するために、法人には税負担がないのが原則です。

 これは、消費税等は間接税としての性質をもっており、納税者(営利法人)と負担者(消費者)が異なるため、納税は営利法人が行うのですが、負担は消費者が行うことになるからです。

 しかし、非営利型法人等の場合には、消費者としての立場に立つことが多く、寄付金収入や会費収入、補助金収入など(特定収入といいます)に関して、公益法人が消費税等を自ら負担をする部分があるのが特徴です。

 この税額計算の複雑さから計算結果が間違っていることが多いため、その場合は税務調査において指摘事項が出ることになり、節税を行っていない場合にはさらにその税負担も多額なものとなります。

 特に消費税法上の非課税売上と不課税売上(課税対象外売上)の区別を行っていない場合には、納税するべき金額が相違しますので、ほぼ確実に指摘の対象となります。

 なお非営利型法人等では、通常その規模が小さいことから、簡易課税制度を採用していることも多いのですが、支出に占める人件費の割合が少ないのが普通であるため、手間はかかりますが、簡易課税制度よりも原則課税制度を採用したほうが節税になるケースが一般的です。

 なお公益法人等に特有の科目と、その消費税法上の取り扱いは図表のようになっています。

 

図表

科目名

内容

消費税上の取扱い

受取会費(会費収入)

対価性のあるもの

課税売上

 〃

対価性のないもの

特定収入

事業収益(事業収入)

受託事業収益(事業収入)

課税売上

 〃

介護保険事業収益(事業収入)

非課税売上

受取補助金等(補助金収入等)

受取補助金(補助金収入)

特定収入

 〃

受取助成金(助成金収入)

特定収入

 

(2)特定収入と特定収入以外の収入

 消費税法上はたとえば市や県から補助金を受け取った場合には、特定収入として課税対象外の取扱いとなります。

 この特定収入は対価性のない収入であり、特定収入を原資に課税仕入が行われた場合には、その部分について仕入税額控除を制限し、法人自らが課税仕入にかかる消費税等を負担することとなっています。

 これについての対策としては、補助金収入等を特定収入から特定収入以外の収入へ変更することが考えられます。

 人件費等の支出は特定支出と呼ばれており、こういった不課税・非課税の支出に当てるための補助金収入等は特定収入以外の収入として、仕入税額控除の計算上、制限を受けないこととされています(消費税法施行令第75条①)。

 この場合には収入・支出共に消費税とは無関係となり、仕入税額控除とも関係なくなるためです。

 

(3)法人による補助金収入等の使途の特定

 なお、特定収入についての仕入税額控除の制限計算を回避するには、補助金収入等を人件費に充てるための補助金として紐付きで受け取ることがベストですが、実務上は人件費に充てる旨を契約書に盛り込むことが無理な場合があります。

 こういった場合であっても、補助金収入等の使途が決算書上で人件費に当てられていることが明らかなものや、合理的な方法により計算された金額(例えば総支出に占める不課税・非課税の支出(特定支出)の割合で按分した金額)については、消費税法基本通達16-2-2(国、地方公共団体の特別会計が受け入れる補助金等の使途の特定方法)を準用し、公益法人等が自ら使途を特定することで、補助金収入等を特定収入以外の収入とすることが可能です。

 なおこの方法は国税庁のホームページに掲載されている「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」により、NPO法人やさらには人格のない社団等まで適用可能となっています。

 この方法を採用している公益法人等であれば、節税意識は高く、初歩的なミスは少ないことが推定されるため、この方法は消費税等の節税対策になるだけでなく、税務調査対策として国税当局に対する牽制にもなります。

 

5、非営利型法人特有の税務調査

(1)各種届出関係

 例えば収益事業の開始届が出されておらず、法人税の申告・納税手続が行われていないなど、制度の運用面において不備がみられるため、これらがまず調査されます。

(2)記帳関係

 複式簿記によっていない場合など、帳簿類が整備されていないことが多いため、預金通帳や請求書、領収書等の原始帳票によりチェックが行われます。

 

コメント;

 非営利型法人等に対する税務調査においては、非常勤役員に対する給与所得の源泉徴収漏れ、法人税の請負業の認識漏れ、消費税の特定収入の認識漏れが指摘されることが多い。

 その内容を熟知したうえで、事前の対策を行うことで、万全の備えをすることをお薦めしたい。

 

参考;

所得税基本通達9-5

法人税法施行令5条①

法人税基本通達15-1-28

消費税法施行令第75条①

消費税法基本通達16-2-2

国税庁ホームページ「国、地方公共団体や公共・公益法人等と消費税」

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